エスクデーヤ(Escudella)は、カタルーニャの冬を代表する伝統料理。様々な肉や野菜、豆を長時間煮込んだ、体の芯から温まる具沢山スープです。
簡単に言えば「肉と豆の具沢山スープ」ですが、その作り方と食べ方には、カタルーニャの食文化が詰まっています。最初に出汁で茹でたパスタスープ、次に煮込んだ肉と野菜──二段階で楽しむこの料理は、寒い冬に欠かせない家庭の味です。
週末に料理好きなパパが作ってくれたエスクデーヤの作り方を、写真と共にご紹介します!
エスクデーヤとは?
🍲 カタルーニャの冬の定番料理
**エスクデーヤ(Escudella i carn d’olla)**は、カタルーニャ地方で何世紀にもわたって受け継がれてきた伝統的な煮込み料理です。

特徴:
- 様々な肉(牛肉、鶏肉、豚肉、ソーセージ)を使用
- 野菜と豆を長時間煮込む
- 出汁でパスタを茹でる
- 2コースに分けて食べる伝統的な食べ方
食べ方:
- プリメロ・プラート(前菜): 肉と野菜の出汁で茹でたパスタスープ
- セグンド・プラート(メイン): 煮込んだ肉、野菜、豆の盛り合わせ
🎄 クリスマスの特別料理
エスクデーヤは、特にクリスマスの時期にカタルーニャの家庭で作られる特別な料理。家族が集まる冬の食卓に欠かせない存在です。
季節: 主に11月〜2月の寒い時期
シーン: 家族の日曜ランチ、クリスマス、冬の集まり
エスクデーヤの材料
🥕 野菜セット
カタルーニャでは、冬の時期になるとエスクデーヤ用にあらかじめセットになった野菜がスーパーで売られています。

セット野菜の内容:
- セロリ
- ニンジン
- 大根(ナボ/Nabo)
- ネギ
- パースニップ(白い人参のような根菜)
パースニップとは?
日本ではあまり馴染みがない野菜ですが、人参のような見た目の白い根菜。人参とごぼうとれんこんの間を取ったような味(笑)。茹でたり焼いたりすると、ほくほくになって美味しいです。
🥩 肉類(たくさん!)
エスクデーヤの特徴は、様々な種類の肉を一度に使うこと。
使う肉:
- ピロタ(Pilota): ミンチのボール(スーパーで売られている)
- 鶏もも肉
- 牛肉ブロック
- 黒ソーセージ(ブティファラ・ネグラ/Botifarra negra)
- 出汁用の豚足&生ハムの骨(原木で食べられない部分)
💡 ポイント:
これだけの肉を使いますが、基本的に全部一緒に煮込むだけという、至ってシンプルな調理法です。
🥔 その他の材料
- じゃがいも
- ひよこ豆
- 乾燥パスタ(小さめの星型やマカロニなど)
- 塩
- バージンオリーブオイル(仕上げ用)
調味料はほぼ不要!
肉と野菜の旨味だけで、驚くほど濃厚な味が出ます。
エスクデーヤの作り方
ステップ1: 出汁を取る
大きな鍋に水を入れ、出汁用の骨と野菜を一緒に茹でていきます。
材料:
- 生ハムの骨
- 豚足
- セロリ、ニンジン、大根、ネギ、パースニップ
ポイント:
弱火でじっくり煮込み、野菜と骨から旨味を抽出します。
ステップ2: 肉を投入
少しぐつぐつしてきたら、お肉を入れていきます。
順番:
- 牛肉ブロック
- 鶏もも肉
- 黒ソーセージ
- ミンチボール(ピロタ)は最後
💡 重要ポイント:
「このときミンチボールを先に入れてしまうと崩れてしまうので、ミンチボールは最後の方で投入」
ステップ3: 野菜と豆を追
出汁用の野菜を取り出したら、ひよこ豆とじゃがいもを入れていきます。

煮込み時間:
全体で2-3時間、弱火でじっくり煮込みます。
ステップ4: 具材を取り出す
ある程度煮込んだら、全部鍋にある中身を出します。
このスープを使って、次のステップへ!
ステップ5: パスタスープを作る
取り出したスープに、乾燥パスタを投入。
💡 驚きの旨味:
「肉や野菜の旨味が凝縮されたスープ、ブイヨンいらずでこんなに濃い味が出るのかーと驚きます」
パスタが茹で上がったら、プリメロ・プラート(前菜)の完成!
ステップ6: 盛り付け
前菜: パスタスープ
肉と野菜の出汁がぎゅっと凝縮された、濃厚なパスタスープ。
メイン: 煮込み肉と野菜
取り出しておいた肉、野菜、ひよこ豆、じゃがいもを盛り付け。
仕上げにバージンオリーブオイルをかけていただきます。
食べ方:スペイン流2コーススタイル
プリメロ・プラート(前菜): パスタスープ
まずは、肉と野菜の出汁で茹でたパスタスープから。
味わい:
「様々な出汁がぎゅっと凝縮されてめちゃくちゃ美味しいです。このスープで他の料理なんかも作ったら美味しい料理が勝手に出来そうです」
セグンド・プラート(メイン): 煮込み肉と野菜
次に、煮込んだ肉と野菜の盛り合わせ。

盛り付け:
- 牛肉ブロック
- 鶏もも肉
- 黒ソーセージ
- ミンチボール(ピロタ)
- じゃがいも
- ひよこ豆
- 煮込んだ野菜
食べ方:
バージンオリーブオイルをかけて食べます。
味付け:
「余計な味付けは一切ないので味は至ってシンプル、各素材の旨味をそのままいただくといった感じですが、こりゃーパワー出るわーといった、ザ・冬の料理といった感じでしょうか」
💡 筆者リアル感想:
「お肉も噛みしめるほどに美味しいですが、私的には煮込み時間をもう少し長くして、もっとほろほろ柔らか〜な感じが理想でした」
💡 日本人の食べ方との違い
スペインでは、前菜→メインと順番に食べるのが基本。
実体験:
「日本人のように味噌汁も漬物もメインも主食も一度に出てくるというような食べ方が好きな私は、最初はイライラしましたが、今ではなんとなく慣れてきました。でもやっぱり全部交互に色々楽しみたいなぁと10年経っても思ってます」エスクデーヤのポイント
🍴 各家庭で味が違う
エスクデーヤは、日本のカレーのように各家庭によって入れる材料や工程、味付けがちょっとずつ異なります。
💡 おすすめの楽しみ方:
「もし見かける機会があったら、ぜひ色々な場所で食べ比べをしてみるのも面白いですよ!」
余った煮込みでコロッケ!
食べきれなかった余りの煮込み部分は、後日パパがせっせとベシャメールソースと合わせてコロッケにしていました。
リメイク料理:
- 煮込み肉をほぐす
- ベシャメールソース(ホワイトソース)と混ぜる
- 丸めて衣をつけて揚げる
- エスクデーヤコロッケの完成!
💡 ポイント:
肉の旨味が凝縮されたコロッケは、通常のコロッケとは一味違う美味しさです。
どこで食べられる?
🏠 家庭料理が基本
エスクデーヤは主に家庭で作られる料理ですが、家庭的なレストランでもたまに見かけることがあります。
おすすめレストラン:
- カタルーニャ料理専門店
- 家族経営の小さなレストラン
- 冬季限定メニューとして提供
時期: 11月〜2月、特にクリスマス時期
🛒 スーパーで材料を買う
カタルーニャのスーパーでは、冬になるとエスクデーヤ用の野菜セットや**ミンチボール(ピロタ)**が売られています。
主なスーパー:
- Mercadona
- Carrefour
- Caprabo
- Bonpreu
作り方のまとめ
材料(4-6人分)
野菜:
- エスクデーヤ用野菜セット(セロリ、ニンジン、大根、ネギ、パースニップ)
- じゃがいも 4-5個
- ひよこ豆 200g(乾燥または缶詰)
肉類:
- 牛肉ブロック 300g
- 鶏もも肉 2本
- 黒ソーセージ 1-2本
- ミンチボール(ピロタ)4-6個
- 豚足 1本(出汁用)
- 生ハムの骨 1本(出汁用)
その他:
- 乾燥パスタ(小さめ)100g
- 塩 適量
- バージンオリーブオイル 適量
作り方
- 大きな鍋に水を入れ、豚足、生ハムの骨、野菜を入れて弱火で煮込む
- 沸騰したら牛肉、鶏肉、黒ソーセージを追加
- 出汁用野菜を取り出し、ひよこ豆とじゃがいもを追加
- ミンチボール(ピロタ)を最後に追加
- 2-3時間じっくり煮込む
- 肉と野菜を取り出す
- 残ったスープで乾燥パスタを茹でる
- パスタスープを前菜として提供
- 肉と野菜をメインとして、オリーブオイルをかけて提供
調理時間: 2.5-3.5時間
まとめ|エスクデーヤの魅力
冬のカタルーニャ料理、エスクデーヤ。各家庭によって入れる材料や工程や味付けがちょっとずつ異なるので、もし見かける機会があったらぜひ色々な場所で食べ比べをしてみるのも面白いですよ!
